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2008-09-30

バスケット

高木さんは高校の頃、女子バスケ部のキャプテンをしていた。
「うちの学校、結構スポーツで有名だったんです」
毎年、県大会で1位をとるような強豪だったという。
当時三年生だった高木さんは最後の大会にむけて猛練習の毎日だった。
「飯田コーチって地元じゃ有名な鬼コーチ。気に入らないプレーをする子にはボロクソ言うんだもん。でも、たぶんあの人がいたから私たち全国行けたんだと思う」
バスケットへの情熱は熱かったが、何しろ言葉使いが荒かったという。
レギュラーは学年関係なく、実力のある者が選ばれた。
「一年生も、初心者も関係なし。出来るか出来ないか。出来ない子はゴミ扱い。それが飯田コーチのやり方でした」
高木さんは食らいつくように練習したという。

一年生に高木さんを慕ってくる子がいた。
「ゆかりって言うんですけど、、あの子、正直バスケ向いてなかったんですよね」
とても線の細い子だった。
高木さんに憧れてバスケ部に入ったのだという。
中学からの経験者だったが、同じ時期に入った初心者に抜かれるようなレベルだった。
コーチからはも[もやし]と言われていた。

ある時ゆかりが<部活が終わった後、練習につき合ってくれないか?>と言ってきた。
「私もクタクタだったし、もう制服に着替えてたから、ごめんって断ったんです」
笑顔で<じゃ、また今度お願いします>と頭を下げて帰っていったという。
もう日は落ちかけていた。
「私は電車通学だったんで、だいたい帰るときは同じメンバー」
駅のホームで、電車を待っていると、次のキャプテンは誰が良いか?という話になった。
一人がゆかりが良いと言い出した。
「いいじゃん!あいつがキャプテンすればみんな自信がつくよ。ってかさ、ゆかりってレズじゃん?マキ狙われてるでしょ」
皆、口々にゆかりの悪口を言っていた。
「悪ふざけだったんでしょうけど、良い気はしなかったですね」
まじめに答えるのも面倒くさかったので、曖昧な返事を返したという。
しばらくして電車の通過を知らせる笛が鳴ると、高木さん達を追い越して前に出る人がいた。
ゆかりだった。
ホームの端まで行くと振り返り高木さんを見つめた。
「高木先輩、ごめんなさい。今度は無しです」
そう言うと、あの笑顔を浮かべ、そのまま後ろへ倒れ込んだ。
「あっという間でした。私たちの目の前で、、」
音はしなかったという。
電車が通り過ぎると、ホームは錆びの匂いでいっぱいになった。
ゆかりの体は腰から二つに分断されていた。
頭からは、スボンジのようなクリーム色の泡が出ていた。
下半身に傷は無く、細い足が痙攣を繰り返していたという。

後日、全校集会が開かれ、校長の長い話の後、黙とうがなされた。
バスケット部に原因の追求はなかったという。
飯田コーチはことあるごとに、<もやしのようになるなよ>と野次るようになった。
高木さんは高校を最後にバスケットからはなれた。
「大学推薦の話とかあったんですけど、なんだかどうでも良くなっちゃって」
母親となった今でも時々夢を見るという。
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genre : 小説・文学

tag : 怖い話 ホラー

2008-09-28

ヒデさん

「なんてったって、チョーアウトドアだからよ!最近の引きこもり?あんな連中にはまず無理だな」
寺田さんはホームレス時代に体験した事を話してくれた。
「ホームレスってのは根性座ってねーと、できねーもんだぜ。まぁ、人にもよるが、普通に働いてた方が楽だからな。結局、自分の事は自分で決めたい!って奴だけが最後まで居着くようになる」
当時寺田さんは、ヒデさんという先輩ホームレスに良くしてもらっていた。
「どこの世界でも人のつながりってのは大事でよ、、ヒデさんは俺にホームレスのイロハを教えてくれてな、、」
互いに助け合いながら生活していたという。

何年か経ち、周りのホームレス仲間にも一目おかれるようになった頃、寺田さんはヒデさんに呼ばれた。
「ヒデさんのテントは立派でよ、、本棚まであるんだぜ。で、何か用か?って聞いたんだ」
背中がかゆいから掻いてくれないか?と言われた。
「なんだい!そんな事かよ」
そう言って服をまくり上げたという。
「さすがに俺も、ちょっと引いちまった。背中が動いてんだよ」
ところどころ皮膚が破れており、その間からウジ虫が湧いていた。
皮膚の薄い所は、動き回るウジ虫が透けて見えたという。
「ヒデさん、あんた、、、」
「どうした?ウジでも湧いてるか?」
「ああ、、これ、ウジ虫だよな、、」
「たぶんな。悪いがこいつでとってくれないか?」
そう言って割り箸と空のツナ缶を渡されたという。
ツナ缶はウジ虫でいっぱいになった。
皮膚の下に潜り込んだウジ虫はガラスの欠片で皮膚を破いてから取り出した。
卵のような物が産みつけられていたが、すべてをとる事は出来なかった。
「ヒデさん、痛くないのか?」
もう痛みは感じないのだという。
「それから何回かウジ虫を取りに行ったが、もうヒデさん、、歳だったからな」
4度目に訪れた時には死んでいた。
テントの中は子蝿でいっぱいになっていたという。
「人間ってのは、元気なうちはどんなに不潔にしてたって平気なもんだ。でもよ、歳がいって、抵抗力が無くなってくるとだめだ。ホームレスなんてやってちゃいけない。あんな死に方、あんまりだ、、」

その後、寺田さんは50歳にして会社を興した。
大胆な経営で、一気に優良企業へと成長させた。
現在は自身の体験談をもとに、各地で講演会を開いている。




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genre : 小説・文学

tag : ホラー 怖い話

2008-09-26

天体観測

注意)15歳未満の方はお控え下さい


「あの頃は純情だったな、、」
田代さんは中学時代つき合ってた彼との話をしてくれた。
「はじめての彼氏で、手をつなぐのもドキドキだった」
二人の家は近所にあった。
夜になるとこっそり家を抜け出しては、二人で公園まで歩いたという。
「いつも、、ブランコに乗って、学校の話とか、テレビの話とか、いろんな話をしてた」
誰もいない公園で二人で過ごす時間は特別なものだった。
「彼は星が好きで、私に<あれがオリオン座だ>とか、<この季節は獅子座がみえるんだ>とか、嬉しそうに教えてくれるの」
田代さんは彼のまっすぐな目が好きだったという。
「あの日もそうだった」
月が出て、明るい夜だった。
いつものようにブランコに座り、彼の話を聞いていた。
彼の横顔を見つめていると、視線の先に何か動くものが見えた。
「あの日はいつもより明るかったから、、結構はっきり分かったの」
人だった。
迷彩服を着込んだ数人の男が地面に伏せてこちらを伺っていたという。
「なんかマスクみたいな物かぶってた。私ビックリして、、アッ!って声が出ちゃったの」
気づかれたのが分かると男達は立ち上がり、こちらへ近づいてきた。
男達に気づいた彼は<何ですか!あなた達!>そう言って田代さんの前に立った。
「そいつら何にも言わないで、どんどん近づいて来るんだもん」
やばい、と思った時には遅かった。
そのままのスピードで彼はこん棒のような物で殴りつけられ、田代さんはスタンガンを押し付けられた。
動けない体で男達に袋だたきにされる彼を見ているしかなかった。
「もう、めちゃくちゃだった」
彼が動かなくなっても男達はしばらく殴り続けたという。
「なんとか声を出そうとしたんだけど、、」
田代さんはガーゼのような物で口を塞がれ、気を失った。

気がつくと病院のベットの上だった。
「あ、生きてるんだって、、、」
周りには心配そうに見つめる家族があった。

田代さんは性器と体全体にひどい暴行を受けていた。
男達は彼氏の歯をすべて抜くと、それを田代さんの性器に詰め込み、何度も下腹部を殴りつけていたという。
彼女の体からは数人の男の体液が検出された。
担当医には今後妊娠する事は無いと言われた。
彼氏は集中治療室から出てくる事は無かった。

田代さんは現在警察官になり、公務の間に男達の事を探しているという。
「ぜったい見つけます。でも逮捕はしないですよ、日本の法律じゃ死刑になんないから」
話をしている間、彼女の顔にはチックの症状が出ていた。

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2008-09-24

漂白剤

ルナさんは2年前の夏までモデルの仕事をしていた。
「私、結構人気あったんですよ」
読者モデル出身のルナさんは、親しみ安さが売りだった。
若い層に人気が出始め、徐々に仕事も増えていった。
「あの頃は良かったな。毎日が楽しかった、でもね、、」
モデルどうしの陰険ないじめや嫌がらせなども後を絶たなかったという。
実際、いじめを苦に去っていく新人もたくさんいた。
「ある夜、サエコっていう仲の良かったモデル仲間とクラブに行ったんです」
いいお店を知ってるからと、なかば強引に連れて行かれた。
そのクラブは地下にあった。
「けっこう大きなクラブで外人が多めだったかな」
サエコは顔が利くらしく、個室へと通された。
先客がいた。
「外人二人、めっちゃイケメン!お酒も入ってたし、、」
すぐに打ち解けて騒ぎはじめたという。
「しばらくしてあいつらドラッグ始めちゃったの」
サエコを含め外人二人はなれた手つきで紙に巻きはじめた。
ルナさんも進められたという。
「もちろん頂いたよ。ってか、よそでちょくちょくやってたし」
ダウン系のものだったらしく、まどろみに包まれたような感覚におそわれた。
長椅子に沈み込み、思考回路が止まっていくのを感じた。
しばらくしてサエコが注射を取り出した。
「チャンポンはまずいって、どっかで聞いた事あったから、断ったんだけど、、」
いつもやってるからと、腕をまくられた。
「なんだかぼーっとしてて。まぁいっか、って感じでなすがままにしてたんです。」
打たれた瞬間、天地がひっくり返った。
「全身の毛穴が開いたって、、感じ?とにかく覚えてるのはそこまで」
気がつくと朝方だった。
ひどい吐き気に目を覚ましたという。
「みんないなくなってて、とにかくタクシーつかまえて。どうにかマンションまで帰ったんですけど、、」
ひどい頭痛と吐き気から、洗面所から離れられなかったという。
「なんも出ないんですけど、おぇ!おぇ!って息も出来なかった」
すこし落ち着き、自分の顔を鏡でみて愕然とした。
自慢の髪がごっそりと抜け落ちていた。
「なんか、三毛猫みたいだった」
のこった毛をつかむと簡単に抜け落ちた。
這いずるように救急車をよんだという。
「それからすぐに入院。治療やらリハビリやらで半年くらいかかったよ」
抜け毛の原因を尋ねるとルナさんはケラケラ笑いながら答えてくれた。
「医者が言ってた。血液中から漂白剤と同じ成分が出て来たんだって。よく死ななかったなってほめられましたよ」
半年の入院中に所属事務所から契約を切られた。
「まぁ、事務所が言ってこなくてもやめるつもりだったし」
そう言うとカツラをとってみせてくれた。

現在ルナさんは名前を変え、風俗嬢として働いている。
昔のファンが時々噂を聞きつけてやってくるらしく、なかなかの人気を得ている。
医者からは髪の毛はあきらめろと言われた。

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2008-09-23

治外法権

日本のある地域に、特殊な村がある。ある時その村の一部から、炎があがっているのが見えた。近所の人が119番に通報したが、いっこうに消防車が洗われる気配はなく、代わりに数台のベンツが入っていった。新聞でもテレビでもその村の名前がニュースになる事はない。
2008-09-22

白いワンピースの女

斉藤さんはお気に入りの公園に彼と来ていた。
「久しぶりのピクニック。お弁当食べて、お散歩して。すっごい綺麗なバラ園があるんです」
県が管理するその公園は広大な敷地を有していた。
「夕方になって、ちょっと肌寒くなって来た頃かな」
帰ろうとしていると「こんにちは」と声をかけられた。
白いワンピースの女だった。
「すっごい細い人で、血管が浮き出てました」
ガリガリの体は、拒食症の人を思わせた。
「綺麗なバラ園ですよね~、よかったら写真とりますよ?」
女は張り付いたような笑顔で話しかけて来た。
「なんか不自然なんです。だいたいカメラ構えてたわけじゃないし、、」
「結構です」と断り、歩き始めると女は付いて来た。
「お二人は恋人同士ですか?」
「ええ、」
彼が曖昧な返事をすると、
「あはは、、やっぱりだ~!」
そういってスキップを始めた。
「ちょっと、、ユウくん、、」
怖くなった斉藤さんは彼の袖を引っ張り、早く行くよう目配せをした。
彼も頷くと、
「じゃあ、僕らちょっと行く所があるんで」
そう言うと、先にいた女が振り返った。
「すぐ分かれるよ」
「へ?」
「そんな女すぐ分かれるっていってんの!」
突然分けの分からない事を言い出した。
「はぁ?何言ってんだお前?」
彼の言葉に反応するように女がワンピースの裾をまくりはじめた。
「ほら、、ほら、、」
むき出しになった下着はゆるゆるで、棒のような足が突き出していた。
「なんだこいつ!おい、行こうぜ、、」
早歩きで女をよけて急いだ。
後ろから「見たいんでしょ?いいのよ?」という声がしたが、二人は無視した。
しばらくすると、
「あーーーー!んーーー!あーーーーー!んーーーー!」

女の金切り声をあげはじめた。
振り向くと、ナイフを片手に立っていた。
奇声を発しては、自分のうでに噛み付いていた。
「よっぽど強く噛んでたんでしょね、、」
女の口は自分の血でぬらぬらと光っていたという。
二、三歩よろめくと、すごい早さで追いかけて来た。
「必死で逃げましたよ!殺されるって思いましたから」
車に飛び乗るとすぐにドアロックをかけた。
「はやく出して!早く!」
女はすぐそこまで来ていた。
彼はすぐにエンジンをかけ、車を動かした。
ガタンと何かに乗り上げる音がしたが構わず走らせたという。
「たぶんその女、敷いちゃったんです。ミラーにうずくまる姿が写ってましたから、、」

後日、女は捕まったと警察から連絡が入った。
ひき逃げにはならないから安心しろと言われた。


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2008-09-22

魔よけ

オスギが魔よけに効くというお香を焚いたらピーコが臭い臭いと言って家を出て行ったらしい。
2008-09-22

あかずの間

千加子さんは去年の夏、彼と行った旅館での話をしてくれた。
「すごい大雨になって、予約してた旅館までの道が通行止めになっちゃったんです」
仕方なく引き返し、途中にあった古い旅館へ入ったという。
「でも満室だったんです。外は土砂降りだし、大雨警報とか出ちゃってて、どうしようかって話してたら、、」
奥から女将さんがでてきた。渋々といった感じで、普段は使ってない部屋があるからそこでも良ければと案内してくれた。
「全然きれいな部屋だったんですよ。なんで使ってないのか不思議なくらい。でも、、」
空気が重いのだという。
純和風のきれいな部屋。
まるでこの部屋だけ時間が止まっているように感じた。
「彼も何か感じてたみたいだけど、二人とも疲れてたからさっさと寝ちゃった」

夜中、何かの気配に目が覚めた。
体は動かなかった。
<やだ、金縛り!?>
目だけで部屋の中を見回した。
押し入れの襖が20センチほど開いていた。
奥にぼんやりと何かが見えた。
次第に目が暗闇になれてくる。

男と目が合った。

やせこけた顔に眼球だけがやけに大きく、じーっとこちらを見ていた。
「あ、やばいって思った」
千加子さんはすぐに目を閉じ、気づいていない振りをした。

しばらくすると、耳鳴りがしはじめた。
恐怖に耐えかねた千加子さんは、隣の彼を起こそうと横をみた。

目の前に男の顔があった。
枕元から覗き込むように、腰を曲げて。
耳鳴りだと思っていた音は、男の声だった。
千加子さんの目をじーっと見つめ、無表情のまま口だけを動かして何かを訴えている。
そこで千加子さんは気を失った。

次の日、女将さんに昨晩のことを話すと、宿泊料はいらないから、黙っていてほしいと言われた。
その後、その旅館には行っていない。

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2008-09-21

ガチャピン

ガチャピンがダイビングやスキーなど、結構危険なスポーツを自ら実践して子供達に紹介している姿を皆さんも一度は見たことがあるでしょう。もちろん中身はインストラクター。慣れないぬいぐるみを着ての撮影。今までに三人ほど命を落としているそうです。
2008-09-21

306号室

「去年の話です」
沢田さんは以前、住んでいたマンションでの話をしてくれた。
その日は、会社が休みだった。
沢田さんはお昼近くまで、テレビをつけてだらだらしていると刑事が訪ねてきた。
彼女の隣の住人が首をつって死んでいたという。
なにか気づいた事はなかったかと聞かれた。
「全然。だって、私顔も見た事なかったんですよ」
刑事の話によると、妙なメッセージのような物が残されており、困惑しているとのことだった。
「カーテンにね、306って、びっしり赤い字で書かれてたんです」
彼女の部屋は306号室だった。
「もう、すっごい気味が悪かった。そんなの、まるで私の部屋に何かあるみたいじゃないですか」
刑事は念のため部屋の中を確認させてほしいと言い、彼女の部屋に何もない事を確認すると、何かあればと名刺をおいて帰っていった。
「なんか疑われてるみたいで、いい気がしなかったですよ。けっきょくただの自殺ってことで処理されたみたいなんですけど、」

その日から部屋に帰るのが嫌になった。
「出来る事ならあんな縁起の悪い所、さっさと引っ越したかったんだけど、お金なかったし、、」
普段は気にならなかった物音に敏感になった。
「ピシッ、ピシってきしむような音。小さい音だったんだけど、なんだか、、、」
誰か、部屋の中に入ってきているように感じたという。

ある晩、ベットに入っているとリビングからの大きな音に目が覚めた。
「ゴトン!バサバサって、何か落ちたような音。ちょうどトイレにも行きたかったし、私、確かめにいったんです。」
寝室を出て、廊下の電気をつけた。
急な明かりにまぶしさを感じつつ、リビングのドアを開くとひんやりとした空気が漏れてきた。
廊下の照明がリビングをうっすらと照らしており、中の様子が見えた。
「何もなかったんです」
誰かいるのかも、という思いが頭をよぎったが、中に入ってまで確認する気にはなれなかった。
「まぁ、いいやって思って、トイレに入ったんです」

用を済まして便座から立ち上がろうとすると、ぎぃぃ、、とドアの開く音が聞こえた。
リビングの方からだった。
沢田さんは固まった。
トスッ、、、トスッ、、、とゆっくりと歩く音が近づいてくる。
(やだ!やっぱり誰か居たんだ!)
急いで鍵をかけ、ドアノブを握りしめた。
足音がトイレの前でとまった。

「ごめんなさい」
ドス
「ごめんなさい」
ドス

女がドアに体をぶつけているようだった。
なぜ謝られているのか、わけが分からなかった。

沢田さんは恐怖に耐えきれなくなり、目を閉じた。
両手がしびれるほど、固くドアノブをおさえ続けた。

どれくらいたったのか、気がつくと声はしなくなっていた。

結局あさまでトイレに閉じこもっていたという。
後日、警察にありのままを話したが、相手にされなかった。
それからすぐにマンションを引き払い、現在は実家から通っている。

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2008-09-20

髪人形

あらかじめお断りしておきますが、この話を聞いた事でのちに不都合な事があなたの身に起きたとしても、一切責任を負えません。どうか、自己責任で聞いてください。

私が高校3年生だった頃、仲の良かったグループの一人が死にました。表向きは、精神疾患による自殺とされていましたが、実際は違います。あいつに呪い殺されたんです。
もう忘れてしまいたい過去なのですが、皆さんにお話しする事で、少しでも私の恐怖心が薄まればと思い、お話しします。

私とA,B,Cの4人はいわゆるヤンキーで、中学のサッカー部時代から一緒でした。高校に入り、そのままサッカー部に入ろうかと思っていたのですが、見学に行ったときにあまりにも厳しそうだったので高校では部活に入らず、地元の社会人がやっている草サッカーのチームに遊びがてら入っていました。このチームの中の一人に町内にあるお寺の住職をしているひとがいて、私は今この人のおかげで生きていると思っています。

高校生活も終わりに近づいていた頃、私たちはよく学校を抜け出していました。私たちは4人とも小さな工場など、それぞれに就職が決まっており、ぬけだしても先生にとがめられるという事もありませんでした。まじめに授業を受けている生徒達の邪魔になるとでも思われていたのでしょう。

ある日、いつものように学校を抜け出し、ぶらぶらしていると、Aがいい場所を知っていると言うのです。
話を聞くと、誰も使っていない廃屋があるから、そこをたまり場にしようと言う事でした。
私たち4人はすぐにその廃屋を目指しました。

実際にいってみると、二階建ての結構大きな屋敷で、バブルの頃にたてられたような趣味の悪いシャンデリアがぶら下がっていました。みんないい所を見つけたとはしゃいでおり、すぐに屋敷の探索が始まりました。
なかなか金持ちだったらしく、家の中はデザインを重視したような作りになっていました。
2階に続く階段へと来たとき、おかしな所に気がつきました。
結構急な階段を登った先にはもちろん2階の部屋へと続くドアがついているのですが、それとは別にもう一つ、階段を5段ほど登ったあたりから上に、手を伸ばしても到底届かないような位置にドアがついているのです。
無理な増改築でもしたときに使わなくなったドアの跡が残ったのだろうかとも思いましたが、二階に上がってみるとやはりおかしいのです。二階のドアを開くとそこは一つの広いフロアになっていたのですが、ちょうど先ほどの手の届かないドアの裏あたりの壁が出っ張っており、そこにはある程度の広さの空間があるはずでした。
みんな、ドアと出っ張りの位置を確認しては、やっぱり変だと口にし、そのうちにあの壁の向こうに隠し部屋があるんじゃないかという話になってきました。
それからは、みんなで入り口探しが始まりました。
大きな本棚をずらすとすぐにそれは見つかりました。
ドアノブは針金でグルグル巻きにされており、内側から開けられないようにされていました。
明らかに隠されていた入り口。軽々しく入って行くべきではなかったのです。
針金を外すと、みんな躊躇する事なくその部屋へと入って行きました。
今思うとみんな呼び寄せられていたのかもしれません。

部屋の中はがらんとしており、中央に机が一つあるだけで、その上に写真立てとわら人形のような物が置かれていました。
「うわー、なんやこれ」
写真立ての人物は学ランを着ていたので学生だと分かったのですが、顔の部分が切り取られていて、代わりにティッシュを丸めたような物が顔の部分に詰め込まれており、赤いマジックで目が書かれていました。
「あーこれ、髪の毛や」
わら人形は髪の毛で作られていました。それが釘で机に直接打ち付けてあります。
私はよく触れるなと思いながら、感触を確かめているAを見ていましたが、何を思ったのか突然Aがその人形を机から引きはがしました。
「おい、やめとけよ」
私はだんだん怖くなってきて、もう帰りたくなっていました。
Aはじっと人形を見つめたまま動きません。
「おい、ここやばいぞ」
Bが紙切れをヒラヒラさせながら言いました。紙切れは御札でした。
よく見ると部屋の四隅に御札が貼られていました。

ギイイいいバタン!

突然ドアが閉まり部屋は真っ暗になりました。
「うわ、なんや」

ガチャガチャ
急いでドアを開けようとしましたが、強い力で押さえつけられていてびくともしません。
「あかん!閉じ込められた」
みんなパニックになりました。
「いいいいいいいいいいいいいいいいいい」
後ろからはAのうなる様な声が聞こえいます。

腰が抜けそうになりながらドアに体当たりしていると、背中から明かりが射してきました。
「こっちや!」
入り口とは反対にあるドアが開いていました。
先ほどのおかしな位置にあったドアが開いたのでした。
「はよこい、はよこい」
私たちは転がり落ちるように部屋を出ました。
ドアから階段までは3メートルくらい高さがあったと思います。
体をしこたま打ち付けましたが、それどころではありませんでした。
「おい!A」「なにしよんや!」
なかなかAが降りてきません。置いて逃げるのは気が引けたので、逃げ出したいのをぎりぎりで我慢していました。
するとAの歌うような声が聞こえてきました。

ここまで聞いていて気分の悪くなった人はこれ以上はお進めできません。
どうか自己責任でお願いします。

続きです。
Aの歌っていた声が耳から離れません。
こんな感じです。
「え~んみぃ~だぁ~ま、え~んみぃ~だぁ~ま」

私はもう限界でした。
Aの姿を確認する事なく、逃げ出しました。BとCもすぐにあとをついてきました。
「やばいて、どうするよ」
私たちはとにかくその場所から離れたくて、自転車に飛び乗ると、必死にこぎました。
「Aどうなったんやろうか」「あれ、なんか憑いとったよな」
そのとき私はサッカーチームの住職の事を思い出しました。
「そうや!天野さんとこ行こう。あのひとお坊さんやし、なんとかしてくれるかもしれん」
「ああ、そうやな、、それがええわ」
そのまま私たちは、天野さんの家に向かいました。

着いてすぐ事情を説明すると、はじめにこやかに聞いていた天野さんの顔がだんだんと厳しい物に変わっていきました。
「お前ら、えらい事してもーたな」
普段聞いた事のないような低い声でした。
「おかん、こいつら頼むわ。本堂から出さんといてくれ」
そういうと、天野さんの母親らしきおばさんに別棟へと連れて行かれました。
ついていくあいだ、天野さんの怒鳴るよう電話の声が聞こえていました。
「あかんわ、吉田さんとこ!すぐ戻ってきてや。」
「ちゃうちゃう!もう解けとる」
「ああ、せやけど、俺自身ないわ。おやじ絶対すぐきてや!」
天野さんの慌てぶりを目の当たりにし、事態は最悪に思えました。
「おふくろ、いってくるわ」
しばらくすると、車の出て行く音が聞こえました。

本堂で待っている間、おばさんに淡々と説教されましたが、なんと言われたのかは全く覚えていません。
私は緊張が解けて、泣いていたと思います。
天野さんが帰ってくるまでに私たちは3人とも丸坊主にされました。

何時間かたって、車の帰ってくる音が聞こえました。
外から、天野さんと、天野さんのお父さんらしき人の声が聞こえていましたが、話している内容は聞き取れませんでした。
しばらくして、再び車の出て行く音が聞こえたと思うと、天野さんだけが本堂に入ってきました。

「ええか、大事な事はなすけん、まじめにききや。まずAの事は忘れろ。うちの親戚がやっとる病院でとりあえず預かってもらっとるが、あれはもうダメや」
もうダメだと言われて、どういう事なのか問いただしたかったのですが、天野さんの真剣な表情をに押されて何も言えませんでした。
「それからな、おまら、もうこの町にはおられへん。出来るだけバラバラの土地に行ってな、顔を合わせんようにしとけ。あいつは自分の事を覚えとるやつの所へは何年かかっても追いかけてくるけん、とにかく今日の事は忘れるんや」
話している間、おばさんが私たちの切り取った髪の毛でわら人形を作っていたのを覚えています。
「こっちでも、出来るだけの事はしてみるけん。急な話やけどな、なにより遠くに逃げるんが確実なんや」
私は、どの辺りまではなれればいいのか、親とも離れなければいけないのか、などといったことをボーとする頭で考えていました。

「あいつ最後逃げるとき、変な歌みたいなもん歌っとった」
Bがつぶやきました。
私ははっきりと覚えていましたし、なにか解決の糸口になればと思い再現してみせました。
「俺覚えとる。えんみーだーま。えんみーだーま」
「やめろ!」
急に怒鳴られて、固まってしまいました。おばさんも人形をつくる手が止まっていたと思います。
「それは歌やない。お前らにしるしを付けるまじないや。二度と口に出すな、頭ん中で思い出すんもいかん。とにかくわすれるんや!」
僕らが顔を合わせたのはその日が最後でした。

あれから7年がすぎ、私は青森に住んでいました。出来るだけ思い出さないように、ただ一日一日を過ごしていく、それだけでした。
Aはあれからすぐに死んだと聞かされました。B、Cともずっと連絡を取っていません。
7年という年月が、私を油断させたのでしょうか。墓参りぐらい行ってやらねばと思い、久しぶりに地元へ帰ってきました。
Aの実家へ訪ねていくとそこは売り家になっていました。あてが外れてしまい、仕方がないので怒られるかもと思いましたが、天野さんの家を訪ねる事にしました。しかし、そこにも立ち入り禁止の札が立っており、住んでいる気配がありませんでした。
近所の人にどういう事なのか聞いてみると、僕らが町を出てすぐ、家族間のトラブルでお互いに殺し合いになったそうです。
地元では大きなニュースとして取り上げられていたとの事でした。とても仲の良い家族だったのに、、と近所の人は感慨深げに話していましたが、
私には信じられませんでした。
あいつが来たとしか思えません。

あれからまた引越しをして、今は別の県にいます。どこにいるのかは言えませんが、最近あの歌がよく頭に浮かぶんです。BとCは元気にしているのでしょうか?私はどうしたらいいのでしょう?誰にも話してはいけないと言われていたのですが、あの歌を皆さんに聞いていただければあいつが私を捜しにくくなるのではないのかと思い、お話ししました。申し訳ありません。あの歌を覚えている方の所へはあいつが来る可能性があります。
本当にごめんなさい。ですが、可能性を下げる事は出来ます。出来るだけ多くの人にあの歌を聴かせるのです。そうすれば他の所へいく可能性が増えますので。よーく覚えておいてください。えんみーだーま。えんみーだーま。

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2008-09-20

ダルマ

これは私の友人が大学の卒業旅行でアジアをまわった時、体験した話です。
彼とは同じ外国語学科で、趣味は一人旅というちょっと変わった人でした。夏休みなんかになると突然「おれ明日から沖縄行ってくる」などと言ってはいろんな所を一人で旅してまわる、そんな自由な人でした。私にはまねできないな、と少しうらやましくも思っていました。

私たちは卒業旅行でヨーロッパに行こうと決めていました。仲の良かった彼にも一緒に行かないかと誘ったのですが、彼は「俺はアジアをまわってくると」いつものように目を輝かせていました。今回も一人旅という事でした。「じゃあ、また帰ってきたら話を聞かせて」と、その時は分かれたのですが、帰国してからの彼はまるで別人のようになっていたのです。
いつもは自分から話してくる旅行の事も、特に何もなかったと、なんだか話をそらしているようでした。

卒業後、彼は貿易関係の会社に就職が決まっていたのですが、一度も会社に行く事はなく、ついにはずっと部屋に引きこもるようになっていたのです。心配になった私は彼のアパートを訪ねていきました。
「あんた、どうしたの?らしくないじゃん、悩んでんなら、話してみ?」
そう言うとかれは、ポツポツと話し始めました。
「おれ、アジア行ってきただろ?初めはいい感じでさ、言葉も結構通用してたし」
「三回くらい国境を超えた頃だったかな、、その町はさ、旅行者も多くて、夜でも明かりが結構ついてる様な場所だったんだけど、」
物乞いが、すごく多かったそうです。一つの通りに10人とか、しかも、そのほとんどが足や腕がない子供で、中には奇形の赤ちゃんを見せつけてくる老婆もいたそうです。
「貧富の差っていうの?なんだかな、って思ってたけどどうする事も出来ないし、俺だってほとんど金使わないようにしてたから。移動はバスかヒッチハイクだし、寝る所だって半分は野宿だったし。でもその町では野宿したくなかったんだ。ベンチなんかで寝てたら身ぐるみ剥がされそうでさ」
それで、一般の観光客用のホテルではなく、裏どうりにあるような安いぼろ宿を探したそうです。
「でもさ、なかなか良さそうな所がなくて、だいぶ本通りから離れて怪しそうな場所まできちゃった訳よ」
もう引き返そうかって思っていたら一軒、<ダルマヤド>と看板が出てる所があった。
達磨さんが転んだ、のダルマに宿。宿って出てるくらいだから泊めてもらえるんだろうと思ったそうです。
「違うんだよ、おれ、分け分かんなくってさ。人が壺に入れられて並んでんだよ!男も女も。そいつらが、俺を見つけたら500でどうだとか、言ってくるんだよ。すぐに売春宿だって気づいたけど、おかしいんだ!そいつら入ってる壷50センチくらいしかなくてさ!絶対はいんねーだろ?」
あまりの気持ち悪さに吐きそうになったそうです。
「気持ちわりってえずいてたら、一人のつぼ人間が話しかけてきたんだよ!日本語で!」
「あなた日本人ですよね?私、何何大学の◯◯です。おねがい!助けて!!日本の警察に言って下さい」
聞くと、彼女は1年前に旅行中にさらわれてここに連れてこられ、両手両足を切断されて客を取らされているとの事でした。
「でもおれ、怖くて、、ハハ、、外人のふりしたんだよ」
彼はそのまま逃げ出したそうです。

正直がっかりでした。気の小さい男だな~って。
結構彼の事尊敬してたんだけど、これくらいの事で引きこもりになるなんて。
あれから、もう彼とは会ってません。
そうそう、今度旅行で行くんですよ、アジア。
大学の同級生、女の子ばっかりだけど、ダルマ宿も行ってみるつもりです。

theme : ホラー・怪談
genre : 小説・文学

tag : ホラー 怖い話

2008-09-19

イチゴオーレ

皆さんはイチゴオーレは好きですか?私も昔はよく飲んでました。あのまろやかな味を出すために原材料にイチゴ、ミルク、以外にサボテンが使われているそうです。で、そのサボテンなのですが、海外からの輸入品でまかなっており大量の虫が付いているそうです。そのまま大量にミキサーにかけられるため、虫も一緒に砕かれます。皆さんが飲んでいるイチゴオーレには少なからず虫の隠し味が入っているらしいですよ、、
2008-09-19

蚊取り線香

私の大学時代、ぼろアパートに住んでいた頃の話です。ちょうどお盆をすぎた頃で、その日は花火大会。私は行かなかったんですが、友人二人が行っていて、終わったらうちに遊びにくる事になっていました。

花火大会は9時で終わりのはずだったんですが、なかなか二人がやってきません。渋滞にでも巻き込まれているのだろうと思い、私はテレビゲームをしながらだらだらと待っていました。結局二人が来たのは11時近くになってからでした。

「悪い悪い、とちゅうで一人増えちゃってさ」
二人の後に続いて白いワンピースの女性が入ってきました。
「え、だれ?」
「彼女はタエちゃん。なんか俺たちすごい気が合ってさ、構わないだろ?」
聞くと、帰りに車で走っていた所、一人で歩いていたのでナンパしたとの事でした。
そんなナンパについてくるような派手な子ではなかったので、意外に思いましたが、まあ、女の子がいるだけでむさ苦しさがやわらぐようなきがして、ついつい招き入れてしまいました。

当時流行っていた格闘ゲームで競い合う、というのがうちに来てからのいつもの流れだったのですが、二人は女の子と話すのに夢中でゲームなんかほったらかしです。仕方がないので私は、はしゃぐ二人を横目に一人でコンピューター相手に遊んでいました。

いくつかのキャラでラスボスを倒した所で三人の方を見ると未だにわいわいとやっていました。しかし、ちょっと様子がおかしいのです。女性を囲むように男二人がずっとしゃべっているのですが、女の子はひと言も発していません。なのに会話が成立しているのです。例えば、どんな映画が好きなの?という男の質問に、女の子は何も答えない。へ~!渋いね!!ともう一人の男が相づちをうつ、そんな感じでした。
ただ、その子は二人の顔をかわるがわるじーと見つめていました。

その事に気づいてから背筋がぞっとするのを感じました。思い返せば彼女は部屋に来てから何も話していないのです。なぜこんな不自然な事に気がつかなかったのか、自分でも分かりませんでした。彼女の顔は青白く、生きている感じがしませんでした。
あーヤバいな、、そう感じた私は部屋をでました。
「俺、ちょっとジュース買ってくるわ」
携帯を片手にアパートの前の自動販売機へと向かいました。

プルルルルル

「もしもし?卓也?」
「おう、どうした?」
「いきなりなんだけどさ、お前、幽霊とか詳しかったよな?」
卓也って言うのは同じ大学の同級生でオカルト研究会の部長をやっていました。
「ああ、まあ、、で、なんかあったのか?」
私は一通り事情を説明しました。
「んー、、その女どこで拾ったって?」
「いや、詳しくは聞いてない。ただ道を歩いてた所をナンパしたって、、」
「そうか、、あっ!ちょっとさ、お前アビラウンケンソワカって言ってみ?」
「え、なんで?」
「いいから、ア•ビ•ラ•ウ•ン•ケ•ン•ソ•ワ•カ!」
「ええー、っと、アビラウンケンソワカ。これでいいか?」
「ok。じゃあさ、その女の顔ってどんなだった」
「女の顔?えーっと、、あれ、、どんなだったっけ?あっれ~、思い出せない」
「あーやっぱり。ダメだわ、その女。今のは本来あるべき姿に戻れっておまじないなんだけど、お前もちょっと危なかったぞ。とにかくその女、部屋から追い出せ」
「追い出せったって、どうやって!?おまえちょっとうちまで来てくれよ」
「それは無理。俺今実家帰ってるし」
「マジかよ、、」
「あ~一つあったわ。お前んち線香ある?」
「いや、ない。蚊取り線香ならあるけど」
「ああ、、それでいいよ。部屋に戻ってなガンガンに蚊取り線香焚いてみ。部屋が曇るくらい。多分それでもとの場所に帰るはずだから」
彼が言うにはその女は地縛霊で本来はその場所を動けないはずなのに私の友人が連れて来た、とのことでした。
「それから、部屋に帰っても女の顔は見るなよ。お前も取り付かれちまうからな」
さいごにダメだったらとにかく逃げろ、と言い残して電話は切れました。

わたしはやるべき事を頭でシュミレートしながら部屋に戻りました。

部屋に帰ると彼らはまだわいわいと騒いでいました。横を通っても私に見向きもしません。
言われたとおり、すぐに蚊取り線香を炊きました。お皿に取り分けて5本。
1kの私の部屋はすぐに煙でいっぱいになりました。だんだんと息苦しくなってきて友人二人が咳き込み始めたと思うと、スッと女が立ち上がりました。そのときつい女の顔を見てしまったのですが、すごい形相でにらみつけていました。

そのまま女は部屋を出て行きました。
「あれ、タエちゃん。帰っちゃったよ。早く追いかけようぜ」
いまだ正気に戻らない二人を私は思いっきりひっぱたきました。
「おい!おまえら。自分の顔、鏡でみてみろ!」
彼らの顔にははっきりとしたクマが浮かんでおり、顔全体がどす黒くなっていました。
「なんだ、この顔!」
「うえー、これ、誰だよ」
二人は鏡を見てあまりの変貌に驚き、やっと正気に戻りました。
「だめだ、気分悪い」
そのまま二人はぐったりして倒れるように眠ってしまいました。
次の日の昼すぎ、ようやく目を覚ましたときには元の顔色に戻っていたので安心しました。

話はこれで終わりです。
もうだいぶ昔の事なのですが、思い返すと今でもあの時の恐怖がよみがえってきます。
もしあのまま彼女が居座り続けていたらどうなっていたのでしょうか?
みなさんも、知らない人を部屋に招く時は一つ疑いを持つ事をオススメします。

theme : ホラー・怪談
genre : 小説・文学

tag : ホラー 怖い話

2008-09-18

タイムカプセル

先日、中学の同窓会がありました。大学生になったいま、友達やちょっと憧れてた人など、みんな大人になっていて、なんだか不思議な気分でした。中にはあの人誰?って人もいましたが、私の仲良くしてた子達は面影がけっこうあって、すぐに分かりました。しばらくいろんな人と話してなつかし合っていましたが、一番仲の良かった子、奈々子の姿が見えませんでした。会えるのを楽しみにしていたので、すこしがっかりでした。
「さゆり!久しぶり!お前、かわったな~、てゆうか綺麗になった?」
「うそ~、ほんとに?吉田君もちょっとおとなっぽくなったんじゃない?」
「だろ~!もう堂々とエロビデオ借りれるんだぜ!」
「もぉ~、相変わらずばか言ってるわね。ところでさ、奈々子みてない?来てないのかな?」
「奈々子って、木村奈々子?」
「うん、昔わたしといっつもつるんでたじゃん?」
「ああ、おまえ知らなかったのか?」
話をきくと、奈々子は2年前に事故にあって亡くなったとの事でした。ショックでした。会わなくなって久しいとはいえ、中学時代の親友に、もう会えないと思うと、泣いてしまいそうでした。

それから、お酒も沢山飲んで楽しもうとしましたが、なんだか沈んでしまい、ブルーな気持ちのまま同窓会は進んでいきました。そのうちに幹事の人がタイムカプセルをあけようと言いだし、大きな缶箱が広げられました。中には、名前の書かれたガチャガチャのカプセルがいっぱい入っていました。そういえばそんな物もあったなと思いながら、それぞれに配られるカプセルを手にしました。中には自分に宛てた手紙が入っていました。

<将来のわたしへ。元気にやってますか?夢だった英語の先生にはなれましたか?彼氏はいるの?てか、もしかしてもう結婚してたりして。私の事だから一人でぶらぶらしてそうな気もするけど。まあ、元気でいればそれでよし!じゃあな!がんばれ私!>

なんだか、元気いっぱいの手紙を読んでたら、少し気が晴れてきました。ほんとにあの頃は悩みゼロって感じだったな、、

感慨にふけっていると、吉田君が声をかけてきました。
「さゆり。これ木村の分。お前見てやれよ」
そういって奈々子の名前の書かれたカプセルを渡されました。
「うん、、」
渡されたカプセルは、なんだか奈々子のにおいがするようで、また胸が熱くなっていくのを感じました。

カポッ

中の紙には、短く、小さい字で、ひと言だけ。


<さゆり死ね>


そう書かれていました。

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genre : 小説・文学

tag : ホラー 怖い話

2008-09-18

初めまして

初めまして。紋白蝶<モンシロチョウ>と申します。私は恐怖に取り憑かれており、自ら求め続ける者であります。私の集めた怖い話などをしたためていきますので、感想などお聞かせ頂けると嬉しいです。お友達やリンクを貼って下さる方も大募集です。ご気軽にどうぞ。
プロフィール

紋白蝶

Author:紋白蝶
香川県在住の妄想家です。
趣味は読書、ゲームなど。
日々人間の恐怖を探求中、
たぶん普通の人です(汗)
感想聞かせて下さいませ。

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