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2008-10-21

ねずみ男

「私のとこ、ほとんど学生しか住んでいないから、おかしいなって思ったんです」
マヤさんは大学から歩いて5分ほどのマンションに住んでいた。
「私、3年まででほとんど単位とってたから、」
四回生になると、大学の授業は午前中で終わり、昼過ぎには帰ってくる事が多くなったという。

ある日、学校から帰ってくるとマンションのエレベータへ駆け込んできた男がいた。
「40歳くらいに見えました。表情が分からない位ひげがいっぱいで、」
男は毛玉だらけのトレーナーを着ていた。
エレベータの中に赤身魚の様なねっとりとした臭いが広がったという。
「私の部屋7階なんです。階段なんて使ってなかったし、、」
マヤさんは身を固くしてエレベータが開くのを待った。
男が話しかけてきた。
「あー、すいません。高木さんのお友達ですか?」
男の視点はマヤさんの左上に固定されたままで、顔を見ずに会話する姿が気持ち悪かった。
「高木さんって言われても、どの高木さんだか分かんないし」
マヤさんは[いいえ]とだけ答えたという。

7階になりエレベータが開くと、マヤさんは急いで歩き出した。
男が後を付いてきていた。
「私の事、付けてきてたらどうしよう?って焦りました」
マヤさんは自分の部屋を通り過ぎると携帯を取り出した。
「もしもし、アケミ?、、あっ、ごめ~ん!すぐ取りに行くから、ちょっと待ってて、、」
忘れ物をした振りをして引き返し、小走りで男の脇を避けるようにすり抜けた。
扉の閉まるエレベータの中から、男がマヤさんの部屋の前で立っているのが見えた。
「その人、私の部屋のドアスコープを覗き込んでるんです」
マヤさんは友人に事情を話し避難させてもらうことにした。

1時間ほどして、友人に付いて来てもらい自分の部屋へ帰る事にした。
部屋の前に男の姿は無かったが、ドアノブにスーパーのレジ袋がぶら下がっていた。
「キウイかな?って思ったら、」
たくさんのネズミが入っていた。
レジ袋の中でもぞもぞと動くネズミ達は、弱っているようではあったが死んではいなかった。
あの男の仕業だとおもったマヤさんはすぐに警察へ電話をしたという。

一週間後、部屋の外が騒がしいと感じていると刑事が尋ねてきた。
マヤさんの隣の部屋で捜索願の出ていた女性の死体が見つかったのだという。
「刑事さんに確認してもらいたい物があるっていわれて、」
隣の部屋から死体と一緒にマヤさんの服や下着、郵便物が出てきたのだという。
死亡していた女性は3年以上監禁されていた。
発見された時には腐敗が始まっており、部屋から大量のネズミがでてきた。
女性の名前は高木めぐみ。
同じ大学の卒業生だった。
犯人は逃走中なのだという。

後日、高木さんはマンションを出て大学へは実家から通うようにした。
「電車で2時間くらいですけどね。週に1日行けば卒業の単位は確保できたし。単位とっててよかったですよ」
就職先は実家の近くで探す予定なのだそうだ。



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2008-10-21

アクセス1000オーバー♪

アクセス1000越えです!有り難うございます。
これからも、恐怖の蜜をよろしくお願いします。



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2008-10-16

合成肉加工工場

「最近じゃ食品加工会社は目の仇ですよ」
松本さんは勤めている食品加工工場ではウインナーを作っていた。
近年の食品偽装や農薬混入の事件の影響で監査機関から突っつかれているのだという。
「うちは大丈夫ですよ?品質管理しっかりしてますし、輸入品みたいに大量生産じゃなくて、少量でも高品質ってのが売りですから。、、、ただ、以前に一度だけ、、」

その日はオーナーの奥さんが見学に来ていた。
絵に描いたような成金で、見学に来る時にはいつもマルチーズを連れていた。
「僕らは防菌服で作業してるってのに、工場内を散歩させるんです。バカらしくなりますよ」
普段は競馬新聞を読んでいるだけの工場長はここぞとばかり、あれこれと説明してまわるのだという。
「いきなり足元にマルチーズが戯れ付いてきたんでビックリしました」
工場内には応接室が設けてあり、その扉が少し開いていた。
中では工場長がオーナーの奥さんにコーヒを入れているのが見えた。
「捕まえようとしたら逃げるんです」
工場内で作業員との追いかけっこが始まったという。
そうこうしている内にマルチーズはベルトコンベアーに飛び乗った。
「荒肉をミンチにする行程でした」
マルチーズはベルトコンベアーに乗っている荒肉の匂いをしきりに嗅いでいた。
肉をすり潰す歯車が近づいてくるとマルチーズはベルトから飛び降りようとした。
「あっという間でした」
すでにリードが引き込まれており、ゲップのような音と共にすり潰されていったという。

作業員たちは互いに顔を見合わせ、応接室へと顔を向けた。
中では未だに工場長がオーナーの奥さんにゴマをすっている姿が見えた。
皆、何事も無かったように持ち場に戻ったという。

その後しばらくすると奥さんが愛犬がいなくなった事に気づき、作業員全員で探すはめになった。
誰も真実を言いだす者は居なかった。
「自動で袋詰めまでされますから、、」
完成品は、その日のうちにスーパーに並ぶのだという。



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2008-10-15

春彦さん

[今度、遊園地に行きませんか?]
アケミの携帯に誘いのメールが入ってきたのは、やり取りを始めて1ヶ月ほどたった頃だった。
「私、彼氏と別れたばかりで、、遊んでくれる人探してたんです」
アケミは出会い系サイトで知り合った男といい感じになっていた。
男のハンドルネームは[ラルク]。
ラルクのファンだったアケミさんは、話が合うのではないかと思ったのがきっかけだったという。
「すごいメールの文章が丁寧で、きっと誠実な人なんだろうなって」
やがて、お互いの顔が見たいという話になり、写メの交換をする事になった。
「思ってたより全然素敵で、当たりだ!って思いました」
彼からの返信メールには[アケミさんの顔、おもいっきり僕のタイプです]とあった。
アケミは[ラルク]に会いたいと思うようになった。
「彼、けっこう奥手で<どこかで合おう>みたいな話、なかなか出てこないの。私から合おうって言うのも抵抗あったし」
遊園地へ行こうと誘いのメールがあった時には、すぐにOKの返事を返したという。

二人は次の週の月曜日に待ち合わせる事にした。
「私、美容室で働いてるから月曜日が休みでしょ?彼も休みは合わせられるからって」
待ち合わせの時間より10分前に行ったが、彼はすでに来ていた。
「写メ交換してるから、すぐに分かった」
実物も申し分ないイケメンだった。
「あなたがアケミさん?」
彼に<はじめまして>と言うと、隣のおばさんが話しかけてきた。
「あらぁ、素敵な方じゃない。ほら、トオル、ご挨拶は?」
[ラルク]はこもった声で<どうも>とだけつぶやいた。
隣の女は[ラルク]の母親だと名乗った。
「目が点ですよ。ああ、痛い人なんだなって、、期待してた分ショックでした」
その場で帰りたかったのだが、強引な母親が<さぁ!さぁ!いきましょう>と二人を連れて遊園地の中へ連れていかれたという。

会話の8割は母親がだった。
時々アケミが相づちをうつ程度で、[ラルク]はひと言もしゃべらなかった。
冗談のような時間が過ぎていった。
「私、何してるんだろうって」
やがて、母親が
「あなた達、あれに乗ってらっしゃい!」
そう言ってジェットコースタを指差した。
「ほら!ほら!荷物預かっとくから」
アケミはバックを渡すと二人でジェットコースタに乗り込んだ。
二人乗りのシートで横並びに座っていたのだが、やはり[ラルク]は何も言わず、カッ、カッ、カッというジェットコースタが登っていく音だけが響いた。

アトラクションが終わると[ラルク]の肩が震えていた。
「彼、泣いてたんです」
母親が飛ぶように走ってきた。
「トオルちゃん、どうしたの?泣いちゃって、、男の子でしょ?」
ジェットコースタの係員の目も気にせずに、すり寄っていった。
「アケミさん、ちょっとごめんなさいね。この子落ち着かせるから」
そう言うと母親は[ラルク]をメリーゴーランドへと引っ張って行った。
<ちょっとこれお願い>と母親と[ラルク]の荷物を渡された。
戻ってきたら帰らせてもらおうと心に決めたという。

荷物を抱え、二人を待っていると母親のバックからメモ用紙が落ちそうになっていた。
「たぶん免許証見たんだと思います」
メモにはアケミの本籍、住所、免許書番号が控えられていた。
アケミはメモを破り捨てると、そのまま荷物をおいて帰ったという。

後日[ラルク]から[この前は楽しかったです。また今度映画でも行きませんか?]とメールがきた。
アケミは受信拒否設定を始めて使ったという。



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2008-10-11

プリンちゃん

「今日はぁプリンちゃんの命日なのぉ」
キャバクラ嬢のユメさんは悲しそうな顔で話してくれた。
アニメ声のためか芝居がっかってみえた。
<飼っていた犬でも死んだのか?>と尋ねると、クイクイと頭を横に振り、うつむいてしまった。
自分の子だと言った。
ユメさんは去年流産しており、今日がその日なのだという。

その日、ユメさんは流行のインフルエンザにかかっており、自宅のアパートで寝込んでいた。
「先生からホンコンA型って言われたぁ。ユメ、O型だから違うっ!て言ったんだけどぉ」
夜になり、ふらふらする体で店に出勤したという。
処方された薬が効いている間はよかった。
「なんかねぇ、私ってお酒飲んでる方が調子良いみたい」
いつも以上にフワフワする感覚が面白かった。
閉店になる頃にはグデングデンに酔っていたという。

閉店後、店の女の子達とカラオケに行ったのだが、いつ帰ってきたのかは覚えていなかった。
気がつくと自分のアパートで、着替えもしないまま布団にくるまっていたのだという。
「なんじごろだろぉ、、ユメってばお腹痛くって、目が覚めたんだけど、」
体をおこす事ができなかった。
脂汗で服はグッショリと濡れてしまい気持ち悪かった。
「すっごい痛くて、そのまま気を失っちゃったのかなぁ?」
目が覚めると昼すぎだった。
股間のあたりがヌルヌルと濡れていた。
「おもらししちゃったのかと思ったぁ」
布団が真っ赤に染まっていた。
「ユメ、ビックリしてぇ体起こしたんだけどぉ、」
自分の血だと分かった。
太ももに着いた血が乾きはじめており、筋のような模様を作っていた。
赤いシミと一緒にブヨブヨとした物がいくつかあった。
「ポッチンプリンをぐちゃぐちゃっ!てした感じ。つまんでみたら小ちゃい足が生えてるのぉ」
心当たりは無かったが自分の赤ちゃんだと理解できた。
ユメさんのお腹は出てきていなかった。

その後病院で見てもらうと、妊娠早期の段階だった事がわかった。
父親は誰だか分からないという。
「ちゃんと出て来れなくて可哀想だったからぁ、、わたし、名前つけてあげたんだぁ!」
そう言うとユメさんは携帯の写メを見せてくれた。


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2008-10-10

漢方薬

「日本では売られていない、ダイエットに効く漢方薬だって言われてたんだけど、」
ヒロミは以前ホームステイで滞在していたアジアのある国での事を話してくれた。
「ホストファミリーに私と同じ年の女の子がいたの」
リンダというスタイルの良い娘だった。
すぐに仲良くなり、いろんな言葉やその国の風習など良く教えてくれたという。

あるときリンダから<良い物をあげる>と白い粉の入った袋を渡された。
「ベニーゼっていうダイエット薬、とにかくすごい効き目なんだって」
その国ではモデルや芸能界を目指す女の子はみんな飲んでいると言っていた。
「2~3ヶ月に一回飲むだけで良いんだって。強力だから飲み過ぎるとガリガリになるって言われて、なんか危なそうだなって思ったんだけど」
リンダは目の前で飲んでみせた。
「断るのも悪かったし、なにより私も体形の事は気になってたから」
味はしなかったという。

薬の効果は顕著に現れてきた。
帰国するまでの2ヶ月ほどで8キロも体重が減っていた。
「ほんとビックリ。食事制限とか何にもしてないんですよ。むしろいつもより食べてたくらい」
魔法の薬のように思えたという。

滞在期間が終わり、日本へ帰る事になった。
帰国したヒロミを見た友人達は、すっかり見違えた姿に一様に驚いたという。
「みんなその薬が欲しいって言ってたけど、持ち帰るには空港で引っかかるの。ほしかったら国際便でこっそり送ってあげるってリンダがいってくれてて」
その事を話すと、友人達から<自分の分も一緒に頼んでほしい>とせがまれたという。

帰国して一週間、ヒロミはひどい腹痛におそわれた。
「冷や汗たっぷり。授業中だったんだけど、もう我慢できなくて」
教室を抜け出し、トイレに駆け込んだという。
「しばらく止まんなくて、、不安になって覗いてみたの」
赤いゼリーのような物でいっぱいになっていた。
ゼリーの中に、うどんのような白く長いものが浮いていた。
「くねくね動いてんの!なんでこんな物が出てくんのよっ!て、、」
気味の悪さに嘔吐してしまったという。
病院へは行かなかった。

その後、体調を崩す事は無かったが、少しずつ体重が戻りはじめた。
「けっこう、あっという間。ひと月で元の体重に戻って、次の月には5キロ増えてんの」
薬を送ってもらおうと思い、リンダへ国際電話をかけたという。
「リンダ?なんか帰ってから体重もどってきちゃって、あの薬、いくつか送ってくれない?」
リンダの声は印象が変わっていた。
「あーもう出たんだ。また欲しかったら4万で10袋送るよ?」
4万と言えばその国の平均家庭の月収とほぼ同じ額である。
「えっ、、ちょっと、高いんじゃないの?あの漢方薬ってなに使ってるのよ?」
初めにタダでくれたので、安い物だと思っていた。
「漢方薬?何いってんの?あれ寄生虫の卵だよ」
聞くと、寄生虫を体の中で飼う事により、食べた物のほとんどのエネルギーが奪われ痩せるという仕組みだった。
寄生虫はある程度大きくなると体の外へ出ていこうとする。
体から排出されると、いままでエネルギーを吸収できなかった反動で以前より太りやすくなってしまうのだという。
「言わなかったっけ?」
リンダはさめた口調でそう言ってみせた。

結婚して3人の子を持つ母親となった今も、ヒロミはスレンダーな体形を維持している。
「騙されたみたいでハラが立ったけど、考えたら安いでしょ?4万で2年間、何の苦労も無く痩せられるんだから」
仲の良いママ友には進めているという。



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2008-10-09

手癖の悪い女

注意)15歳未満の方はお控え下さい。

雄一は浪人生の頃、アイコというホステスとつき合っていた。
「顔は良いんですけどね、あいつバカだから」
アイコは店の金を持ち出してはよその町で暮らし、お金がなくなるとまたホステスをして稼ぐ、という生活を繰り返していたという。
「俺とつき合ってたときは口座に1000万あるとかで、毎回アイコのおごりでしたね。おねだりしたら何でも買ってくれたし、最高でしたよ」
しばらく会えない時などは、アイコから[仕送り]があった。
「でも、遊びでちょっと遠出なんて時には<この町はダメ>とか<この辺はまずい>とか言って近づけない町がよくありました」
勤めていたキャバクラがヤクザに頼んでアイコを探しているのだという。

交際は1年続かなかった。
電話に出なくなったり、会えない日が続くようになった頃、知らない男と腕を組んで歩いているのを見かけた。
問いつめると<じゃあ別れる!>と言われ、それっきりだった。
「出会った時も、男の所から逃げてきたっていってたから」
長く続くとは思っていなかったという。

4月、雄一は目標にしていた大学には受からなかった。
これ以上浪人は出来ないと、滑り止めとして受験していた三流の大学へ通う事になった。
勉強への情熱もすっかりさめており、すぐに大学よりもバイトに力が入るようになったという。
「パチンコ屋のバイトが一番良かったですね。時給も良かったし、店長も良くしてくれて」
本気でパチンコ屋に就職しようかと思ったという。
あるとき、店長に良い物を貸してやると一本のビデオを渡された。
「どうせ裏ビデオだろうってすぐ分かったんですけどね」
一人暮らしの雄一は有り難く借りて帰った。

そのビデオは個人で撮影されたものだった。
編集などはされておらず、四つん這いの女がしばらく映し出された後、唐突にセックスが始まった。
だんだんとカメラが女に近づいていき、様子がおかしい事がわかった。
薬漬けにされているらしいその女は口からよだれを流し続けており、肉棒をくわえようと開いた口には歯が一本も生えていなかった。
「手首と足首が切り落とされてるみたいで、、かわりにドアノブのカバー?みたいなやつが先っちょに被さってました」
間違いなくアイコだった。
雄一さんはすっかり萎えてしまったという。

後日、店長にビデオを返すと、どこで手に入れたのか聞いてみた。
「すごいだろ?あれな、知り合いのヤクザんとこで飼われてんだよ。ああいう女じゃないと満足できない客がいるらしくってさ、あれでも結構立派なシノギになってるんだとさ。このビデオはそういう客へのプロモーションビデオ」
組の名前を聞くと地元の暴力団だった。
バイト先のパチンコ屋もその暴力団が元締めだった。

「あっという間にいなくなって、また違う町へ行ったんだろうなって思ってたら、結構世間は狭いですね」
雄一は今もパチンコ屋でバイトを続けている。
今年で学校は卒業なのだそうだ。


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2008-10-08

イベントコンパニオン

「話し方が紳士的で、顔は高校の頃の担任に似てた」
アヤカさんはイベントコンパニオンとして働いていたときの話をしてくれた。
「地元の商工会?かなんかの懇親会に呼ばれたのね」
アヤカさんの他に、10名のコンパニオンが派遣されていたという。
ホテルの会場を一室借り切っての大きな宴会だった。
いつものようにお酒を注ぎ、お世辞を交えながら場を盛り上げていた。
「大当たりだったんだよね。チップがすごいの。他の会場でも、もらう事はあるんだけどさ、千円とか、気前がいい人で1万とかでしょ?そのときは10万とか出てくるの!チップは個人でもらっていい事になってたから、」
他のコンパニオン達も張り切っていたという。

カラオケが始まり、一段落すると会場の隅の方で一人で飲んでいる中年の男性を見つけた。
場慣れしていない風が、見て取れた。
チップをたんまりもらい上機嫌のアヤカさんは、その男性を盛り上げてあげようと近づいていった。
「こんばんわ。何飲んでるんですか?」
「あっ、、あ、どうも。これは白ワイン、、かな」
男の戸惑いぶりが可愛くみえた。
「美味しそうだな~。一口もらえますか?」
そう言って男のグラスをとると、一口飲んで返した。
大抵の男はそうすると喜ぶのだという。
「それから血液型が一緒だとか、仕事の話とかで、盛り上がったかな。すこしオーバーなリアクションをとってあげたら、けっこう根はおしゃべりだったみたいで」
話に詰まる事はなかったという。

懇親会の終わりまじか、その男から<この後場所を変えて飲まないか>と誘われた。
「いつもは付いて行かないんだけどね、あの日はなんか私もテンション上がっちゃってて、、」
男は<芸能人もお忍びで来る>と、しきりに行きつけのバーの自慢をしていた。
「タクシー捕まえて、、あんまり見慣れない場所を通ってるなぁって、そのあたりまで覚えてるんだけど、」
自慢のバーに着くことはなかった。
「なんかで眠らされたんだと思う」

気がつくと、どこかのラブホテルにいた。
ロープで手足を縛られ、くつわをされて柱にくくりつけられていた。
服は脱がされていた。
「だんだん事態が飲み込めてきて、、どうしようって思ってたら」
気づいた男が近づいてきた。
理解できなかった。
「そいつ、、」
セーラー服に金髪のカツラを着けていたという。
白ソックスに覆い被さるように生えていたすね毛が気持ち悪かった。
化粧もしているようだった。
「ツキニカワッテーーーーオシオキヨ!」
男は裏声で叫ぶと親指を頬に押し付けてきた。
「ンンッ!」
口の中に鉄の味が広がった。
何かで刺されたのは分かった。
<オシオキヨ!>と叫びながら、男は次から次に指を押し付けてくる。
顔中がジンジンと熱を持ってくるのが分かった。
おでこに押し付けられた時、ゴリッと骨にぶつかる感覚があった。
その拍子に、刺さっていた物がいくつか足元に転がるのが見えた。
「そいつ、私の顔に押しピンを刺してたんです」
必死にもがき、助けてくれと訴えた。
男はその行為に性的興奮を感じているようだった。
足元には、自分の顔から流れ落ちる血と、刺さりきらなくなった押しピンとが散らばっていった。
その行為は、男が射精するまで続けられた。
男は満足すると、アヤカさんの写真を数枚撮り、財布から現金を抜き取るとホテルを出て行った。
アヤカさんは男が身支度をしている間、気が遠くなりそうなのを我慢して必死に男の特徴を覚えたという。

次の日、アヤカさんは気を失っている所をホテルの清掃員に発見された。
すぐに救急車が呼ばれ病院に搬送され緊急の処置がなされた。
顔は倍ほどに膨れ上がり、取り除かれた押しピンは112個に達したという。
ひと月ほどで腫れは引いていったが、顔中に胡麻を撒いたようなシミがのこった。

現在アヤカさんは、小規模ながらイベントコンパニオン事務所を経営している。
「あの男、地元の方言使ってたからね」
そのうち見つけて整形手術の費用と慰謝料をたっぷり払わせるつもりなのだそうだ。



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2008-10-07

キノコ狩り

「私、インドア派だったんですけどね」
サトミさんは去年、友達から<キノコ狩りに行かないか?>と誘われた。
あまり親しい仲でもなかったのだが、OLになり友好関係が狭くなって来た事を感じていたサトミさんは、試しにと行く事にした。
「私と、私の友達とその彼氏。三人で行きました」
目的の山は、車で1時間ほどの所にあった。
「紅葉がすごく綺麗で、、それだけで来たかいがあったな~って」
ハイキングコースとして整備されており、歩くのにはさほど苦労しなかったという。
2時間ほど行くと、眺めの良い場所があるのでそれまでにたくさん集めよう、という事になった。
「やってみると結構難しいんです。二人はあちこちで<見つけた!>とか<ここいっぱい生えてるよ!>とか言ってるんですけど、私が見つけるのは栗ばっかり。栗拾いも面白かったですけどね」
持って来たかごは、栗やキノコ、綺麗な葉っぱなどでいっぱいになった。

ほどなく行くと、目的の場所についた。
水道やちょっとした料理が出来るような設備があり、使わせてもらう事にした。
「お肉とかみそとか持って来てたから、キノコ鍋作ろうってことになったんです」
友達の彼氏は炭火でキノコを焼いていた。
「すっごい良いにおいがしてた」
仕込みが終わり、あとは煮えるのを待つだけとなり友達と話していると、彼氏がニコニコしながらお皿をもって近寄って来た。
「はいサトミちゃん。食べてみて」
差し出されたキノコには醤油がかけられていて美味しそうだった。
「ありがとう」
口に入れると醤油の味が口いっぱいに広がった。
「うん、おいし、、」
かんでいる方の頬がしびれて来た。
「うえ、ぺっぺっ、、」
すぐに吐き出したが、しびれと共にチクチクと刺すような痛みが顔中に広がっていった。
「サトミ?」
答える事が出来なかった。
「歯医者で麻酔打たれたような感じ」
顔の筋肉がつっぱりうまく動かせなかった。
「ハッッハッハハ!!サトミちゃん顔、顔が、、ヒィーヒヒヒッ!」
友達の彼氏が大笑いを始めた。
「やっぱこれ、、食べたらダメなやつみたいだぜ?」
サトミの顔は口が右半分、裂けるほど広がっており、左右の表情が違うものになっていた。
「サトミ?あんた大丈夫?」
「はぁー。はいひょーふ」
口が動かせず、空気の漏れるような声になってしまた。
「ブハハハッ!はいひょーふだって!」
彼女も咳を切ったように笑い始めた。
「ふざけんな!って感じですよ。下手すりゃ死ぬでしょ?あいつら、何の知識もないのに人に毒味させてたんです」
サトミさんの反応をみてキノコ鍋も中止となった。
二人はリュックからオニギリを取り出すと食べはじめたという。
「サトミも食べる?」
オニギリを差し出されたが、無視した。
「なに?怒ってんの?つまんない」
そう言って二人は離れていった。
「さっさと帰りたかったけど、同じ車で来てたから」
怒鳴り散らしたいのを我慢し、早く時間が過ぎる事をねがったという。

帰りはずっと黙っていた。
「口は動くようになってたんだけど、話したくなかったから」
しびれが取れていない振りをした。
以降、その友達から連絡がくる事は無かったという。

それからしばらくして、別の友人から<これサトミじゃない?>とメールが届いた。
チェーンメールとして出回っているというその画像は、タイトルが[へん顔]となっており、サトミの右半分が大きく歪んだ顔が映っていたという。



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2008-10-03

人ブタ

「人間ってほんと、何するか分かんないっすよ」
春野さんは探偵事務所で働いていたときの事を話してくれた。
春野さんが勤めていた探偵事務所では、常時いくつかの依頼を受けており、数人のチームで各依頼をこなしていた。
ある時、名の通った大地主から依頼があったという。
「江戸時代から続くとかいう、名家だったんですけどね。で、その娘が行方不明で探して欲しいって」
<警察はあてにならない、無事保護してくれたら500万出す>との事だった。
「金の力はすごいですよ。浮気調査のチームとか、もろもろ他のメンバーも臨時でかり出されて」
一週間後には、ほぼ潜伏場所が特定されたという。
「それが、妙なんですよ。パッと見普通の民家に女がひとり、出入りしているだけなんですけどね。その民家に監禁されてるんじゃないかってことで、張り込んだんです」

何日すぎても、おかしな行動は見られなかった。
「はずれじゃないかって思いましたね」
依頼の期限が迫っていた。
ひと月以内に見つけられなければすべてが無駄になる契約だった。
「上も必死ですよ。一応必要経費は依頼主持ちなんですけど、ほかの依頼蹴ってましたからね」
期限が迫り、強硬手段にでたという。
「まあ、ぶっちゃけて言うと不法侵入です。女の出入りの時間は把握してましたし、見張りも数人たててたんで、見つかる事は無いですけどね」

家に入ると豚小屋のような匂いがした。
缶ビールやコンビニ弁当の空など、足の踏み場も無いほど散乱していた。
二階へと上がると鍵のかかった部屋があった。
「簡単な作りだったんで、すぐ開きました」
女が数人いた。
みな裸にされており、ガリガリにやせた体をさらしていた。
<大丈夫ですか>と問いかけても反応する物はいなかった。
「目も、耳もダメで、咽も焼かれていました」
彼女達は女に飼われていた。
「あの女、自分のクソを食わせてたんです」
被害者達の胃の中から人間の糞尿と思われる物が検出されたという。

依頼主に発見の連絡を入れると、自ら娘を引き取りに来た。
娘の姿を見て、ひとしきり泣きわめくと、何処かへと電話をかけはじめた。
30分後、黒塗りのベンツが家の周りを取り囲んだという。
「女が帰ってくると、あっという間にベンツに乗せられて、、それから先は言えません」
警察に通報したのは二日後だった。
犯人が行方不明という事件は、しばらくメディアで取り上げられていたが、やがて忘れられた。
「普通が一番ですよ」

春野さんは現在、ホームセンターのガーデニングコーナーで働いている。

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2008-10-02

産婦人科

「私、初めてのお産だったんです」
中島さんは結婚3年目にして待望の赤ちゃんを授かった。
産婦人科は、市内で腕が良いと評判な所を選んだ。
「最初の頃はオリモノとかあって、危なかったんですよ」
切迫流産の可能性があったので、とにかく体に負担をかけないよう生活したという。

安定期に入ったころ、産婦人科の待合室で大学の同級生と一緒になった。
「水口さんって言うんですけど、あんまり好きなタイプの人じゃなかったですよね」
中島さんは大学時代にマルチまがいなやり方で、水口さんから補正下着を買わされた事があった。
「とりあえず試着してみたら、一度身に付けた者はもう返品できないって言うんですよ!ひどいでしょ?」
結局、一セット10万もする下着を買わされた。
それから水口さんとは疎遠になったという。
「そんなんだったから、あんまり顔を合わせたくなかったんだけど、」
水口さんは彼女を見つけると、すぐにそばに寄って来た。
「中島さん!ひさしぶり~。すっごい偶然!私も赤ちゃん出来たんだ。なんか知らない人ばっかりだったから嬉しいな~、予定日はいつ?子供、同級生になったらいいね」
あまりの馴れ馴れしさに戸惑いをおぼえたという。
中島さんに検診の順番が回ってくると、<よかったらメールちょうだい>と携帯のアドレスを渡された。
検診から帰ってくると水口さんはすでにいなかったという。

その日家に帰ると、水口さんを知る友人に電話した。
「アドレスもらったのにメールしないのって失礼でしょ?でも仲良くする気も無かったし、とりあえず大学の同級生に相談したんです。そしたらビックリ」
電話の友人も2年前に同じ産婦人科で水口さんに合っていたという。
「何かその時、生活に困っているからお金を貸してくれないか?って頼まれたんですって。すごい胡散臭いでしょ。もちろんお金は返って来てないんですって」
結局メールは送らなかった。

ひと月後、定期検診で産婦人科へ行くと、また水口さんがいた。
「月に一回くらいなのについてないな~って」
前と同じようにすり寄って来たという。
ひと言ふた言話すと、急に真面目な顔になり<相談がある>と言ってきた。
「実は私さ、最近旦那に逃げられて、、生活苦しいんだ。まさか子供が出来てるなんて思ってなかったし。こんなこと言いにくいんだけど、、、すぐ返すからさ、、お金、貸してくれない?」
やっぱりか、と思った。
わざとらしい演技はすぐに嘘だと分かった。
「あんたそれ、みんなにやってるでしょ!裕美も同じ事言われたって言ってたよ。、、あんた本当に赤ちゃん出来てんの?全然おなか大っきくなってないじゃん」
中島さんははっきり断ろうと、強めに言った。
一瞬固まっていた水口さんは、バックからアイスピックを取り出すと、脇腹に押し付けてきた。
表情は無かったという。
「、、で?どうすんの?出すの出さないの?どっちでも良いけど、赤ちゃん死ぬよ?」
押し付けられたアイスピックが服を抜けてお腹をなでていた。
財布の中身をすべて渡したという。
診察のあと、家には帰らず警察へ直行した。

後日、水口さんが逮捕されたと警察から連絡があった。
本人は<やっていない>としらを切っていたが、産婦人科の防犯カメラに一部始終が映っていた。
調べが進むうちに初犯でない事が分かった。
彼女の家は産婦人科の近くにあり、診察に来る知人を見つけては生活苦を訴え、金をだまし取っていたという。

現在中島さんは一児の母となり、子育ての真っ最中だ。
初めての経験ばかりで、苦労も多いが楽しい毎日を過ごしているという。
水口さんは来月で刑期を終え、出所してくる。

theme : ホラー・怪談
genre : 小説・文学

tag : ホラー 怖い話

2008-10-01

お化粧ごっこ

二宮さんは以前住んでいた借家での出来事を話してくれた。
夫と別れたばかりの二宮さんは、即日入居可能な物件を探していた。
「結構古い家だったんだけど、パート先から近いし、なにより家賃がすっごい安くて。一応、養育費って事で毎月5万振り込まれるようになってたんだけど、なにがあるか分かんないでしょ?」
その借家は、築50年以上は経っているようにみえた。
「部屋が4つと台所。二人で住むには広すぎるかと思ったんだけど、ひとつひとつの部屋はけっこう狭くって、、4畳半くらいだったかな」
息子との二人だけの生活が始まった。
昼のパートに加え、夜も知り合いのラウンジで働くようになった二宮さんは、5歳になる息子に構ってられないほど時間に追われるようになったという。
「もう、まともに相手できるのは昼のパートが終わってからの2時間くらい。コウタには、かわいそうだったけど、、」
そのわずかな時間でさえ、洗濯やご飯の用意におわれて邪険にしてしまいがちだった。
「忙しくって、引っ越しの荷物だってまだちゃんと片付けてなかったし、私も余裕がなかったんだと思う」
引っ越して3ヶ月ほどして、コウタくんが妙な事を言うようになった。
<家の中に知らない人がいる>そう言って押し入れを指差したり、天井をじっと凝視したまま怯えるようになったという。
「私が、あんまりかまってあげないもんだから、気を惹こうとしてるんだと思ってました」
数日おかしな行動が続いたが、すぐに収まった。
しばらくして、二宮さんは風邪をひいて寝込んでしまった時があった。
「ひさしぶりにたっぷり寝ました。無理してるのは分かってたし、まぁ、よかったかなって」
その日、目が覚めると昼すぎだった。
ふだん相手できない埋め合わせに、思いっきり甘えさせてあげようと思い、コウタくんを探した。
「いくら呼んでも返事しないの。かってに出て行くわけないし」
ふらふらする足取りで他の部屋を探したという。
コウタくんは化粧台の前に座っていた。
「でも、様子がおかしいの。私の声が聞こえてないみたいで、、」
近づくと口紅をもっているのが見えた。
「コウタ?何してるの?だめでしょ、勝手にママの使っちゃ」
コウタくんは化粧をしていた。
振り返った顔にはでたらめに口紅が塗られており、定まらない視線で空をあおいでいる。
「コウタ!」
呼びかけるも反応がなかった。
コウタくんは、ふたたび鏡へ向き直ると、鏡の中の自分に話しはじめた。
「ママ、家の中に知らない人がいるよ?」
声を上げる事も出来なかったという。


theme : ホラー・怪談
genre : 小説・文学

tag : 怖い話 ホラー

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紋白蝶

Author:紋白蝶
香川県在住の妄想家です。
趣味は読書、ゲームなど。
日々人間の恐怖を探求中、
たぶん普通の人です(汗)
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