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2009-02-23

ファイトクラブ

「面白い所ありますって誘われてね、、」
奥野さんは会社の取引先の人と飲みにいった時の話をしてくれた。
「その人、ファンさんていうアジア系の人で、すごく気が合ってね」
最初に行ったのは普通の居酒屋だった。
お互いの苦労話や国に残してきた家族の事など、酒を交わしながら話をしたという。

大分お酒も進んできた頃、
「オクノサン、ストレス発散シマスカ?イイトコロアリマス」
そう言って場所を変えようと言われた。
「エッチなお店でも紹介してくれるのかなっ、、ってね」
乗り気で奥野さんは付いて行ったという。

ついた場所は古いアパートが建ち並ぶ廃れた路地で、何かの店があるようには思えなかった。
「コッチコッチ」
ぼろぼろの建物へと案内された。
薄暗い照明のついた階段を下りていくと、数人の外国人がたむろしていた。
ファンさんは顔が利くらしく、ひと言二言はなすと中へと通された。
「結構広くて、いわゆるクラブってやつでした。日本人も結構いましたよ」
激しいロックミュージックの中たくさんの人が体を揺らしていた。
「私はダンスとか出来ないんで、端の方で飲んでたんです」
ファンさんが知り合いと話しているのを遠くから眺めていたという。

しばらくすると音楽が止まり、踊っていた人々はフロアにスペースを空けるかように端の方へと移動していった。
何が始まるのかと店内を見回していると、ファンさんが笑顔で近づいてきた。
「オクノサン、ハジマルヨ!イキマショウ」
そう言ってフロアへ引っ張られていくと、棒のような物を渡されたという。
「ソフトチャンバラって分かります?スポンジで出来た棒です。叩かれても怪我をしないように作ってあるやつですよ。それを渡されましてね」
何をするのかと思っていると、フロアに犬が連れてこられた。
「ホントハオカネイルケド、コンカイハサービスネ」
気がつくと、同じように棒を構えた人たちが犬を取り囲んでいたという。

ドラの音が響き再び音楽がなり始めた。
「みんなで犬を叩いてるんです、、」
奇声と笑い声の中、皆活き活きと犬を追い回していた。
初めのうちは威嚇していた犬だったが、人々の勢いにフロアじゅうを逃げ始めた。
「いくら怪我しないように作られているって言ったって、痛くない訳じゃないでしょ」
30分ほど叩かれ続けた犬は、やがてぐったりと動かなくなった。
動かなくなった犬に飽きたのか、やがて多くの人はフロアの端へと戻っていった。
構わずに叩き続ける者もいた。
音楽がやむと動かなくなった犬は回収されていったという。
「信じられませんでしたよ。人間って何でもやるんですね、、」

次にドラの音が響き出てきたのは、年老いたヨボヨボの女だった。

同じ事が起きた。

深いシワとスカスカの白髪の女はふるえる声で助けを乞うていた。
<やぁぁめぇぇてぇぇ>
人々は構わず叩き始めた。
聞き取れていた言葉もしだいにただ<アーアー>というのうめき声へと変わっていった。
ファンさんが母国語で何かを叫びながら叩き続けていいる姿が見えた。
「吐きそうでした、、」
気分の悪くなった奥野さんは逃げるように店をでたという。

後日、奥野さんは警察に通報しようとしてやめた。
「実家の、、祖母の所に、ファンさんが来たみたいでね」
日頃お世話になっているからと、菓子折りをもって訪ねて来たのだという。
ファンさんとは現在も変わらず取引を続けている。




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2009-02-21

アカルイミライ

「あの頃はお金なかったんで、すぐokしましたよ」
杉山さんは駆け出しのテレビカメラマンだった。
「1日撮影して30万くれるって言うんですよ!おいしい話でしょ?!」
専門学校の同級生からの話だった。
詳しくは話せないがカメラをまわしてくれないか?とのことだった。
「特別仲がよかったって訳じゃないんだけど、、そいつ、学校中退したみたいだったし」
とにかく好条件だったのですぐに了承した。
他言無用、秘密厳守と言われたが特に気にしなかったという。

当日は同級生が家まで迎えにきてくれた。
連れて行かれたのは港近くの倉庫の一角だった。
中に入ると、簡単なステージが設置されていた。
「撮影方法は任せるから、とにかく全部撮ってくれ。それと、何があっても途中で撮影をやめるのだけは絶対ダメだからな」
終わったら迎えにくると言い残すと同級生はどこかへ行ってしまったという。

ステージ脇には大型のビデオカメラが設置してあった。
杉山さんは部屋全体を撮影していった。
「使った事のあるタイプだったんで安心しましたよ」
ステージでは少女がリハーサルをしていた。
小学生に見えた。
簡単な振り付けと共にアユの曲を歌っていたという。
「ジュニアアイドルのプロモーションビデオかなって思ったんですけどね、、」

しばらくすると、男達の集団が入ってきた。
「10人くらいだったかな、、やたら露出の激しい女に先導されてね」
すべてを撮影してくれと言われていた杉山さんは、男達と先導する女の姿も順に撮影していった。
「それでは!ミイナちゃんの初ステージ、開演です!」
女の合図でステージが始まった。
少女が出てくるとどよめきが起こり、男達は一斉に写真を撮り始めた。
杉山さんは、フラッシュの中歌う少女を一心に追い続けた。
「私も一応カメラマンなんでね、被写体の一番良い表情を撮りたかったんです」

曲が終わると女が声をかけた。
「はい!写真はここまででお願いします」
女は男達のカメラを回収していくと、代わりにホッチキスを配っていった。
その間に少女は全裸にされ、イスに座らされていたという。

先頭の男が少女に近づいていった。
「ファインダー越しじゃなかったら、耐えられなかったと思います」

ガチャン

男は少女の腕の肉を摘むと、おもむろにホッチキスの針を打ち付けた。
「イイィィ、、」
少女のかみ殺すようなうめきが聞こえた。

背中や耳たぶ、指先など、<ガチャン>という音が五回ほど響いた時に、少女が暴れ始めた。
「痛いよぉ~、無理です。もぉ、う、無理ぃ」
少女は咳を切ったように泣き始めた。

戸惑う男達をかき分けて女が少女に近寄っていった。
「ミイナちゃん!だめよ~、約束でしょ?お家の人に迷惑かかっちゃうのよ~?それでも良いのぉ?」
なだめるように言った女の言葉も無駄だった。
ワンワンと泣き出した少女は何を言っても首を横に振るだけだった。
「すいません!ちょっと落ち着かせますので、しばらくお待ち下さい」
そう言うと、女はミイナを別室へと連れ出した。

10分ほどするとミイナは女に抱えられるように出てきた。
表情は柔らかくなり落ち着きを取り戻したように見えた。
「クスリ打たれたんでしょうね」
ミイナは微笑みを浮かべたまま空中をゆっくりと眺めていた。

「お待たせしました!お手持ちの芯が無くなるまでどうぞ~」
女の合図と共に再び男達が少女に群がった。
<ガチャン>という音がいくつも重なった。
女はその様子を眺めながら、陶酔しきったような顔で自らを弄っていた。

「おかしくなりそうでね。これは映画のワンシーンなんだって自分に言い聞かせましたよ」

手持ちの針が無くなると、群がっていた男達は元の位置に戻って行き、ようやくミイナの全身を写す事がが出来た。 

「狂ってるって、、おもいました」
打ち付けられたホッチキスの針により少女は水着を着たようになっていた。
ふくらみの少ない胸は針で覆われていた。
特に乳首は原型を停めておらず汗のような血が流れていたという。


杉山さんは今もカメラマンとして一線で活躍している。
「あれのおかげかなぁ、、分かるようになったんですよ。本当の表情ってやつが」
来年には映画の撮影も決まっているのだという。



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Author:紋白蝶
香川県在住の妄想家です。
趣味は読書、ゲームなど。
日々人間の恐怖を探求中、
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